安全文化は何で構成されているのかは、慶應義塾大学大学院 SDM研究科 高野研一教授が提唱している8軸で表現されます。
■リレーションの基盤
動機づけ・・・適切なインセンティブで安全性向上取組促進と職場満足度を高めること
組織統率・・・安全優先の価値観を共有し、これを尊重して組織管理を行うこと
責任関与・・・トップ・管理職・一般・協力会社社員各々が責任を持ち、自主的に関与すること
相互理解・・・上下左右の意思疎通、情報共有,相互理解を促進すること
■オペレーションの基盤
危険認識・・・個々人が潜在的リスクを発見する努力で危険感知能力を高めること
学習伝承・・・必要な知識、情報を理解・獲得・伝承・学習すること
業務実践・・・文書/技術/作業/安全/品質管理など業務推進施策を整備・尊重すること
資源配分・・・(人/物/金)資源の管理と配分が適正に運用されていること
この8軸を高めることで、安全文化が醸成します。
■各8軸に見られる代表的なマイナス現象の原因となりやすい事例
・動機づけ
評価は減点法ばかりで加点がない
安全活動が評価項目に入っていない
・組織統制
安全教育へ参加より業務処理が大切
不具合情報が事実と異なる形で上位へ上がる
・責任関与
上層部が現場に行かない
重要な業務を協力会社に任せっぱなしで管理しない
・相互理解
他部門の業務を知らない
現場には協力会社をふくめ顔も知らない人がたくさんいる
・学習伝承
技能伝承が後回しにされる
過去事例・ヒヤリハットが共有されない
・危険認識
「大丈夫かな?」→(きっと)「大丈夫だろう」
手順書などが審査用資料として肥大化
・資源管理
人手不足・業務過多への打開策が示されない
特定の人に仕事が集中する
・業務実施
安全確認動作がだんだんおざなりになる
マニュアルを守らない実作業が黙認される
