お客さまのニーズを充たすための「説明の基本」



「基本なくして応用なし」という言葉がある通り、しっかりした営業の基本が備わっていれば、困難な場面に遭遇してもその基本をベースにして対応することができます。


お客さまは「効用(メリット)」を買っている


お客さまは「モノ(商品)」そのものを買っているわけではありません。そこから生まれる「効用(メリット)」を買っているのです。


例えば、大画面のテレビを買う場合、テレビそのものを買うのではなく、好きなアクション映画を迫力ある画面で楽しめるという「効用」を買うのです。


考えてみれば、自分が顧客だったら当たり前のことですが、なぜか自分が営業の立場に立った途端に、「お客さまは効用を買う」という顧客心理を、すっかり忘れてしまうことが多いのです。


その最大の原因は、営業は売上数字という事実によって評価されるため、ついつい「売りたい」」という自分優先の意識が先行し、お客さまのメリットを忘れてしまうことにあるようです。

そのため、「まずは自社商品ありき」発想ではなく、「まずはお客さまのメリットありき」発想に立つことが重要になります。


また昨今は、ビジュアルを駆使した非常に見栄えの良い提案書を作成する営業担当者が増えています。しかし、内容を見ると商品の機能、つまり事実をびっしりと羅列しただけの提案書になってしまっていることが多いようです。


これでは、お客さまは商品に興味を示すことも、必要性を感じることもありません。


ですから、われわれ営業担当者は常にお客さまにとっての効用を意識して、商品やサービスを分析しておく必要があります。そして、そのようなプロセスを踏んで初めて、「商品知識がついた」といえるのです。


「事実」から、「効用」へ


では、「効用」はどのように考え、説明に役立てればよいのかを考えます。


「効用」を考える際のスタートは、「事実」です。ノートパソコンの例ですと、「画面が〇インチ(事実)」⇒「だから、なんなの?」⇒「これまでのものに比べて字が大きい(一次効用)」⇒「だから、なんなの?」⇒「目が疲れにくい(二次効用)」⇒「だから、なんなの?」⇒「仕事の効率が落ちにくい(三次効用)」・・・といったように、「効用」を掘り下げて考えていくのです。


このように、「事実」から「効用」へと展開するわけですが、事実の説明抜きに、いきなり、「このノートパソコンを使うと、仕事の効率が落ちにくいんです」と、三次効用を説明しはじめたらどうなるでしょうか?


これでは、お客さまの心理に「なぜ?どうして?」という疑問が残ります。

ですから、説明には、「事実」と「効用」の両方が不可欠なのです。


「証拠」を示す


このように、「事実」から「効用」を展開し、「○○ということで、仕事の効率が落ちにくいんです」と「説明」すると、お客さまは「そうはいうけど、本当かな?」という心理になるのが自然です。


そこで、「実際にこのノートパソコンをご導入いただいているA社様では、一人当たりの残業時間が月平均で〇〇時間減ったというデータが出ております」といったように、客観的な「証拠」を示します。


以上のように、「事実」⇒「効用」⇒「証拠」という順番で説明してこそ、「お客さま心理」に則った説明をすることができるのです。


ですから、商品知識をマスターする際にも、「事実」⇒「効用」⇒「証拠」の順番で整理しておくことが必要なのです。


「私にとって、どんなメリットがあるの?」


このように「証拠」まで示しますと、お客さまは「どうやら、本当らしいな」という心理になります。

しかし、先ほどのノート型パソコンの事例でいいますと、仕事でもともとデスクトップ型パソコンしか使わないという人に、先ほどの「このノートパソコンを使うと、仕事の効率が落ちにくいんです」と説明したらどうなるでしょうか?


「ぜひ欲しい」という心理にはならないのではないでしょうか。それどころか、「良いモノみたいだけど、私にとってどんなメリットがあるの?」という疑問が残ってしまいます。


いくら、「事実」⇒「効用」⇒「証拠」と展開しても、それが自社の勝手な都合によるものであっては意味がありません。


お客さまの「個別ニーズ」に結びつける形で展開して、初めてお客さまに「ぜひ欲しい」という心理になっていただけるのです。


すべての起点は、お客さまへの「お役立ち」


たとえ、同じ商品、同じサービスを売っていたとしても、お客さまはそれぞれに違います。一人ひとり、一社一社、抱えている事情、問題もそれぞれ違います。


そうなれば、当然説明する際の「効用」も、お客さまによって変わってきます。


したがって、「この商品、このサービスが、それぞれのお客さまに、どのような観点でお役に立てるのか?」、という発想が、すべての起点となっていることを忘れてはなりません。



本原稿は、株式会社ジェック『行動人』から転載・加工いたしました。

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