「仕事上の悩み」を切り口とした個別事情の聞き出し方

最終更新: 11月10日


「アプローチ」からの自然な流れで「リサーチ」へ


今までご紹介してきた商談の四つの流れとその目的を、もう一度整理しておきましょう。


①アプローチ・・・お客さまの心を開かせる

②リサーチ・・・個別事情を聞き出し、共通課題で合意する

③プレゼンテーション・・・共通課題の解決策を提案し、購買意欲を高める

④クロージング・・・決心のお手伝い



さて、「アプローチ」完了時における、お客さまの心理をもう少し具体的に表現すると、

「私たち営業に対し、人間的には興味を持ったが、私たちが売るものの話には聞く耳を持っていない」という感じになります。


ですから、ここで一番やってはいけないことは、お客さまが心を開いてくれたことをよいことに、再び話題を売り買いに戻してしまうことです。


「ところで、さっきの提案の件ですが・・・」

「少々お話は戻りまして、本日の用件についてですが・・・」

などと言ってしまうと、

「やっぱりそうか。やけに親しげだと思ったら、結局は売り込みのためだったのか」

と、お客さまは敏感に察知し、せっかく開いてくれた心を、またもやピッタリと閉じてしまうからです(表面的には閉じている素振りなど見せないかもしれませんよ!)


さらに怖いのは、「かわいさ余って憎さ百倍」現象が生じることです。心を開いてくれたということは、ある程度信用していただいたからですよね。


ところが話を売り買いに戻すことで、その信用が裏切られたと思われることにもなりかねません。お客さまは、初対面より、むしろ悪い印象を持ってしまうことが多いのです。


だからこそ、「リサーチ」の最初の過程は「気づき」なのです。


「リサーチ」の第一段階 気づきへ話題をつなげる


気づきとは、こちらからの働きかけにより、お客さま自らの意思で、ご自身の現状について問題意識を持っていただくことです。

ここでいう問題とはもちろん、私たちが売るもので解決できる問題のことです。


気づきの過程は、次の二つの段階に分かれます。

①仕事上の悩みを聞き出す

②問題意識を引き出す


最初の段階が「仕事上の悩みを聞き出す」です。お客さまは、売り買いの話にあまり聞く耳は持っていなくても、我々営業に対して、「人間的にはいい奴だな」とか、「プロだな」と、認めてくださっているわけです。


ですからここで、“お客さまの仕事の悩み”に話題を振っても不信感を抱かれることはなく、むしろ喜んで、相談を持ちかけてくださることすらあるのです。


具体的には、


営業担当者 「そうですか・・・。ずいぶんお忙しいのですね。忙しさの原因はスキル不足なのでしょうか?」


お客さま 「そう、まさにその通りなんだ。経営陣が営業に関する業務の見直しを打ち出したから、見積もりから契約書から伝票から業者手配まで、何から何まで、営業担当者が一人で行わなければならないんだよ」


営業担当者 「見積もりや契約書など、いろいろなアプリが常にアップデートしますので、慣れていない、例えばベテランの方々など、特に大変なのではないですか?」


お客さま 「そうなんだよ。」


営業担当者 「実はここ数年、よくお聞きしますね。」


お客さま 「最近の傾向だなぁ。そうだろうなあ」


と、このように「相談相手」の姿勢を鮮明にするのです。


心的イメージとしては、カウンターを挟み、面と向き合って商談をしている状態から、カウンターを乗り越え、お客さまの側に並んで座り、真剣に悩みをお聞きする状態へ、いわば立ち位置を変える感覚です。


これができるのも、「アプローチ」でお客さまの心を開かせることに成功しているからです。


またこの段階では、コミュニケーションの難しさを意識し、お客さまに話しやすくなっていただくことも大切です。


なぜなら、いくら心を開いたといっても、自分の悩みを初対面の人に話すのは、誰でも抵抗があるからです。「傾聴の四原則」、うなずき・相槌・驚き・目つき(アイ・コンタクト)を効果的に活用し、多少言いづらいことでも、思わずしゃべってしまう、そんな雰囲気づくりを心がけたいですね。


それでは、行動理論で締めくくりたいと思います。


■誤った行動理論

受注に結びつけることが第一。お客さまの心を開きさえすれば(因)、少しでも早く売り買いの話に戻したほうがいい(果)。


■正しい行動理論

信頼関係づくりが第一。カウンターを乗り越え、相談相手の姿勢になることで(因)、お客さまは悩みを話しやすくなり(果)、結果として「リサーチ」の効果効率が高まる(果)。


本原稿は、株式会社ジェック『行動人』から転載・加筆いたしました。


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