思い込みは行動変容をさまたげる6

最終更新: 2月23日


人はどんな状況にあっても自分の態度を選択できる-「人間観」



同じことでも、人によって感じ方が違い、対応の仕方が違うということは、日常的に目にすることですね。


褒められて、喜んで、「ますます頑張ろう!」とやる気を出す人もいれば、ほめられたことがかえって重荷になって、「もっと頑張らなければならないのか・・・」とため息をつく人もいます。


成功して有頂天になり、「皆さんのおかげです」と言うのはポーズだけで、いつの間にか傲慢になる人もいますが、心から「皆さんのおかげです」と感謝し、ますます謙虚になる人もいます。


知識や経験が豊富になり、「先生」と言われ、自分は偉いのだと思い、探求を止め自説に固執する人もいれば、知れば知るほど、わかればわかるほど、この世の不思議に目が開かれて、知らないことわからないことがますます増え、自分の無知を自覚し、探求が深まるという人もいます。


このように、一般に「プラス」といわれる状況においても、態度選択は人によって違います。状況が「マイナス」でも同様です。


仕事でミスをして、気持ちが落ち込んで、「自分には、この仕事は合っていない」と思い込み、やる気をなくしてしまう人がいます。


反対に、「ミスはチャンス」ととらえ、ミスをなくすための新しいアイディアを考えたり、上司や先輩からアドバイスをもらって、コミュニケーションを深めたりする人もいます。


あるいは、人間関係に悩み、あるいは大きな失恋で傷つき、

「もう、人と付き合いたくない」

「二度と恋愛なんてしない」

と、心を閉ざす人もいれば、


「人を愛せるということは、幸せなことだ」

「愛されようとするより、人を愛している自分のほうがよい」

と、たとえ傷ついても人を愛そうとする人もいます。


仕事が面白くないとき、それを同僚や会社のせいにすることもできますが、面白くなるように自分がどうすればよいか?と考え工夫することもできます。


このように、状況は「プラス」であれ、「マイナス」であれ、私たちは自分の態度を自分で選択できるということは、なんと素晴らしいことでしょう。


もちろん私たちは、「状況から影響は受ける」のですが、必ずしも「状況に支配されているのではない」(状況の奴隷ではない)ということなのです。私たちはどんな状況にあっても、「今、ここ」を、どのように生きるかを決められるのです。


言い換えれば、どんな状況にあっても、悔いのない態度選択をすることによって、私たちは自分の人生の意味・価値を豊かにできるということです(後述【参考】「『態度価値』について」をご参照ください)。

そういう意味で、私たちはどんな状況にあっても、本来的に「自由」なのです。



【参考】「態度価値」について

V.フランクル(ロゴセラピーの創始者)は、「人生を意味のある豊かなものにするには、『三つの価値』がある」と言っています。


①創造価値・・・何かを成し遂げることで実現する価値

②体験価値・・・何かを体験(人と出会い、芸術を鑑賞するなど)することで実現する価値

③態度価値・・・どんな状況にあっても、どのような態度を選択するか?《態度選択》によって実現する価値


V.フランクルは、ナチスの強制収容所に送還され、極限状況で強制労働をさせられました。

収容所の中では、ある人は生き残るために暴力・盗み・仲間を売るなど、エゴむき出しの態度を示しました、またある人は、他人に優しい言葉をかけ、なぐさめ、自分が生きるためにかけがえのないパンの一切れを与えました。

このような実体験と観察を基に、V.フランクルは、どんなに苛酷な状況であっても、人は自分の態度を選択する意志の自由がある、と述べています。

「態度価値」は、私たちが自分の態度を選択することによって実現する価値です。本文中で紹介した例も、それぞれの人が、それぞれの状況において、その人なりの態度を選択し、その人なりの「態度価値」(良いも悪いも含めて)を実現しているわけです。

なお、このフランクルの著書『夜と霧』は、世界的な名著と言われています。


本原稿は、株式会社ジェック『行動人』から転載・加筆いたしました。

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