私が以前の会社で営業をやっていた時のことです。私の同僚にお客さまから電話がありました。電話の内容は、「約束の納期を一週間早めてほしい」というもの。当時、一週間も納期を早めるためには、関係部署と協力し、特別な対処をする必要がありました。
私は彼に「部長に相談した方がいい」とアドバイスをしました。その時、彼は「そうだな…」と渋い表情をしたことを覚えています。
それから10日ほどたったある日、同じお客さまからものすごい剣幕で電話がかかってきました。約束した日に商品が届かなかったというのです。その同僚は青い顔をして受話器を握りしめ、「すみません、すみません…」と繰り返し平謝りしていました。
この一件で、そのお客さまへは出入り禁止に近い状況に陥ってしまった彼ですが、何とその月の営業会議で、次のような発言をしたのです。
「お客さまの○○様ですが、方針が変わるということで、半年ほど取引は見合わせることになりました」
この報告に対して部長は、
「先方の都合では仕方がないな…」と答えました。
これは明らかに虚偽の報告です。
そして、私が驚いたことは、部長が何も知らなかったこと、つまり、彼がお客さまとの一連の出来事を、全く部長に報告していなかったということです。
後で彼の虚偽報告が問題となったことは、言うまでもありません。