人材戦略の先見は、何から考えるのか?

ソフトバンクが英半導体設計大手のARAMを買収したのは、「産業の上流工

程を握るため」だったと知り、その戦略眼に感嘆した。


「先見の戦略」を考えるとき、現状と将来予測との間にあるものを想定するの

だが、将来予測はこれまでドラッカーの言うように人口や産業の最先端の動向

などから導き出すことが多い。

IoT時代をにらむと、その「最先端」の情報が手に入る業種が半導体の設計

ということなのだろう。


では、人材戦略における「先見」は、何から考えればよいのだろうか?

一つには、産業の高度化の流れがあげられよう。


タクシーやバスなどの交通企業は、過去、中途採用中心で運転士を集めていた。

第二種免許は21歳以上でないと、資格を取ることができない。

そのため、運転士として新卒を採用するということはほとんどなかった。

鉄道事業のように、運転士になるまでに数年をかけて駅、車掌と勤務させるな

ら新卒採用の余地はあるが、同じ交通企業のバス、タクシーには車掌も駅もな

いので、新卒ができる仕事がないのだ。


しかし、タクシー会社の日本交通では大学新卒者を運転士として採用し、バス

会社でも高卒段階での採用を始めたところがあるという。

JR各社でも「駅業務専門」の大卒を採用し始めて10年以上経つ。

これは、過去においては改札の機械化、今現在においては介護や訪日外国人の

案内等の交通サービス産業の「高度化、専門化」の流れを意識していることは

言うまでもない。


そしてもう一つはやはり、高齢者の活用があげられよう。

1年間の出生者数は、約100万人。

団塊の世代は250万人ほどいたことを考えると、半分以下だ。


今の社会の仕組みを維持するために高齢者の活用は、避けて通れまい。

出光佐三は「人間は個人個人によって能力が違うのであり、何歳になると定年

だなんていうことは、人間侮辱である」と言った。

働き手がいないという理由だけではなく、人間尊重・働き方の多様化の経営を

進めるならば、おそらく近い将来、定年という概念はなくなるに違いない。


定年後の継続雇用を進める企業は多いが、その処遇は、現役当時と仕事量が

変わらないにも関わらず、給料が半減、1/3になったという話を聞く。

今後は、勤務実態や成果に応じた給料制度、人事制度を設計する必要がある

のではないだろうか。


人材戦略における先見は、このように産業の高度化と人口動態から考え、先手

を打って対応することが必要となろう。


20161207 ジェックメールマガジンより

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