ポピュリズムと経営

イギリスがEU離脱を決めたのは6月。

アメリカでトランプ氏が大統領選を制したのが11月。

いずれの投票行動も、ポピュリズム(大衆に迎合した政治姿勢)の結果では

ないかという報道も多くあった。

イギリスとアメリカだけではない。

ギリシャも、フィリピンも同様の傾向で政治のトップを選んだように見える。

もっとも、日本も今の政治状況を見ていると、消費増税の先送り、軽減税率

の導入論議等、大衆迎合型の施策や判断が多いように感じるので、あまり言

える立場ではなさそうではある。


「多くの国民に支持される施策を講じる」ことが悪いわけではない。

ただ、その国のリーダーとなる人が、人気取りのために不安をあおり、数の

論理で押そうとするとおかしくなる。

その結果、少数者を尊重することを忘れ、社会に軋轢を生むことは歴史が示

している通りである。

先行きが不透明だからこそ、現実を直視すると同時に未来を先見し、より良

い判断をしなければならない。



これは、経営も同じだ。

ポピュリズム的経営では、社員に中長期的視点を持たせることなく、投票や

多数決で施策を決定しようとするだろう。

あるいは、多数の株主の機嫌を取るために、無理な配当をしたり、若干の法

令違反に目をつむってでも業績を上げようとするだろう。

しかし、それではイノベーションどころか、経営の存続すら危うくなる。


経営者や管理者を人気投票で選ぶ企業はないはずだ。

経営者は、未来を見据えてリスクを負い、時には全社員の反対を押し切った

り、株主を説き伏せてでも社会全体に誠実に経営に当たるべきである。


社員や株主とのコミュニケーションを多くとり、その意見を尊重することが

悪いわけではない。

むしろ、そうすべきだ。

しかし、未来に軸足を置いて判断するときは、必ず既存の力と軋轢を生じる。

バーナードは、「人々の意思を統合して、人々の直接目的やその時代を超え

る目的を果たさせるよう自らを駆り立てる」能力こそ、リーダーの能力(管

理責任)だという。


未来を説き、ステイクホルダーの想いを統合し、正しい選択をするのが経営

者の役割ではないだろうか。


20161221 ジェックメールマガジンより

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