「エレベーターが古くて遅いために、テナントから苦情を受けるビルの問題解決方法」
として、通常、考えられる方法としては、次のようなものがあげられる。
・エレベーターそのものを取り換える
・エレベーターを速いものにする
・エレベーターを制御しているアルゴリズムを変える
しかし、ここで視点を転換すると、全く別の解決策が導き出されるというのだ。
苦情は「エレベーターがなかなか来ない」ということ。
しかし、それを「エレベーターを待つ時間が長く感じる」と視点を変えれば、
解決策は変わってくる。
この事例では「エレベーターの横に鏡を付ける」という解決策を提示している。
人は、思わず見入るものがあると、「時が経つのを忘れがち」だからだそうだ。
(「そもそも解決すべきは本当にその問題なのか」
『ハーバード・ビジネス・レビュー』2018年2月号, pp.27-28, ダイヤモンド社)
高速道路のサービスエリアなどにあるドリップコーヒーの自販機が、
コーヒーができるまでの内部映像を液晶パネルで見せているのも、
上記の事例と解決策と同様の考え方だろう。
行列のできる店がメニューを事前に配布するのも、これに当たるかもしれない。
このように、知恵を働かせて、上手に問題解決ができればよいが、
世の中には、直接的に問題解決をしようとする事例がとても多い。
国で言えば、不法移民が来るからと、国境に壁を作る。
学校では、風紀が乱れるからと校則を厳しくする。
複雑に様々な要因が絡み合っているのに、
表面的な事象にだけ対応しようとするから、おかしくなる。
企業ではどうか?
不祥事が起こると、コンプライアンス委員会が作られ、規律強化を図る。
売り上げが厳しくなると、急に目先だけの目標管理にシフトをする。
確かに、それで問題が解決されることもあるだろう。
しかし、それなりの副作用もあることは、想像に難くない。
組織の問題解決は単純な図式ではできない。
なにより、地道な対話が重要であることを肝に銘じて当たるべきだ。
20180524 ジェックメールマガジンより