未来を見通すためには、長期的な歴史観をもつことが非常に重要だ。
アルビン・トプラーが1980年に出した『第三の波』では、
第一波:農業の時代
第二波:重厚長大・大量生産の産業時代
第三波:軽薄短小型のハイテク多品種少量生産型産業の時代
となっている。
1990年には、『パワーシフト』で、権力の源泉を「武力」から「金力」、そして、21世紀を「知力(知識・情報)」と定義した。
確かに、現代は「知力」の時代である。
例えば、インターネットを介して、あらゆる知識にアクセスできる時代である。
その知識をどう力に変えるのかが、問われているようだ。
キュレーションサイト(まとめサイト)では、 自ら何かに関して発信するのではなく、様々な人の発信をまとめるという利便性を見出した人がこれを生業にした。
確かに、個人で色々調べるのは情報量も多くて大変だ。
そうやって、大変さを感じているのに、それを意図的に生業に変えられる人と、変えられない人がいる。「知力」あってこそではないだろうか。
あらゆるものがインターネットにつながる「IoT」の時代が本格的に到来すると、また、新たな事業が生まれるのだろう。
しかし、それにはこの「知力」も重要だが、その事業を維持、発展させていくために重要なことは、「武力」の時代もそうであったように「人間力」ではないだろうか。
東洋的にはこれを「徳」という。
論語には、「政を為すに徳をもってす。たとえば北辰のその所に居て、衆星のこれを共かう(むかう)がごとし」とある。
「政治の根本は、徳である。それは、ちょうど北極星が中心にいて動かず、多くの星がこれをとりまいて運航しているようなものだ」という意味だ。
政治のみならず、組織運営全般にいえることではないか。
「子(し)曰(いわ)く、 徳は孤(こ)ならず、必ず鄰(となり)あり」
という言葉もある。
「徳のある者は孤立することがなく、理解し助力する人が必ず現れる」という意味である。
「徳」こそ、千載不易の「力」として、組織を動かす者が修めなければならない修養であろう。
20151111 ジェックメールマガジンより