人事施策とは、つまるところ「いかに従業員のモチベーションを高め、能力を最大限に発揮させるか」ということを目的に行われる。
育成体系、報奨金制度、永年勤続表彰制度など、様々な人事施策・制度は、それが目的になっているはずだ。
そして時代環境の変化にも左右されるので、同じ施策がいつまでも有効とは限らない。
高度成長期には、社員旅行や運動会などどこでもやっていたが、その後敬遠する従業員も多く、取りやめた企業も多い。
また、従業員個々のモチベーションの素になるものが違うので、全員に有効な万能施策はない。
成果報酬制度導入で競争意欲を上げようとしたところ、一部の社員には受けが良かったものの、大多数の社員の士気を落としてしまった企業もある。
かと思えば、「そんなことで、社員の結集力が上がるのか?」と思われる施策で功を奏する企業もある。
ある美容院では「失恋休暇」なるものがあるそうだ。
従業員の離職率が深刻な業界で、「従業員を大切にしたい」「テンションが下がっていては、いいサービスはできない」という2つの理由で導入したらしい。「失恋休暇」の取得者は少なくても、「ユニークな制度のある会社にいる」というだけで従業員の士気は上がるし、PR効果もある。
ここまで奇抜なものでなくともよい。
「当たる施策」を的確に導入することが必要なだけだ。
行う目的を考えると同時に、「何が当たるのか?」を読む必要があるということだ。
「何が当たるのか?」は、その組織次第である。
先の美容院での「失恋休暇」は、若い社員が多く、サービス業であり、従業員の応対が業績に直結するから功を奏するのだ。
成果報酬制度を導入して失敗した会社もあるが、社員間相互の補完的な作業や協力体制が業績を上げる根本にあったことを見逃していたのかもしれない。
つまり、自社の組織の状態、風土、共通の価値観等を的確に把握したうえで、何が当たるのかを読み、 施策を作る、そこが肝要ということだ。
20180330 ジェックメールマガジンより