占いではなく桶屋が儲かる経営とは

山本七平氏は著書『「常識」の落とし穴』(1989年日本経済新聞社)で『「占い」に頼るトップは会社をつぶす』と書いている。


この本の中では、ある出版社が、「印刷所の方向が悪いから別のところに変更する」「本の発行日を吉日にする」など、経営を占いで進めた事例を挙げている。その結末が倒産だったそうだ。


インターネットで「占い 経営」と検索すると、おびただしい量のサイトがヒットする。不透明で先の読めない時代、未来予測がつきにくいことは同感だが、21世紀になっても、占いに頼る経営者はいるようだ。



占いの結果で方針を決めた、その理由を従業員に何と説明するのだろう。

まさか「占いで」とは言えまい。何と言いくるめようと、結果の最終責任は経営者が負うしかない。


経営者の一番恐ろしい落とし穴は、「情況判断の誤り」である。占いに頼るのは情況判断に迷いがあるからであろう。

確かに「自分の判断は常に正しい」と胸を張って言える経営者は、世界に一人もいないだろう。それほど経営判断は難しいから、ほとんどの経営者は苦しむのである。


しかしこの難しい情況判断も、成功の確率を高める方法がない訳でもない。

その一つは経験を積むことである。「人生とは経験なり」と言った人がいるが、経験はまさに最善の教師である。叩き上げのオーナー経営者が、比較的情況判断に長けているのも経験の違いがあるからだ。


しかし、一人の経験だけに頼るのも知り得る範囲が狭すぎて危険だ。


ところが幸いにしてこの世には、個人の経験不足を補うにあまりある原理原則が数多く見つかっている。

「風が吹けば桶屋が儲かる」式の因果理論がそれで、経営でも、人の動かし方でも、「こうすれば、こうなる」という因果関係が動いており、その原理原則を知ると、ものごとがよく見えてくるものである。