企業成長の根底は『お役立ち』

「漁師ティコとウォールストリートのアナリスト」という話がある。

(『ビジネス寓話50選』, 博報堂ブランドデザイン編, 2012, アスキー新書)


どのような話かというと(以下要約)、漁村で一日数時間、数本のカジキマグロを釣り、

残りの時間を寝たり・ワインを飲んだり・友人とギターを弾いていたりする漁師に、

都会から来たビジネスパーソンが、もっと沢山働いて、カジキマグロを沢山釣って、

沢山儲けてはどうかと持ちかける。

沢山売って、会社を作り、大きくすれば、大金持ちになると説く。


漁師が「金持ちになってどうするのか?」と聞くと、ビジネスパーソンは、

「小さな漁村に引退して、寝たり・飲んだり…」と先に漁師がしていることを答える。


この寓話は、「個人にとって何のために仕事をするのか?」ということと、

「企業にとって、成長や拡大は、必要なことなのか?」ということを考えさせられる

ものだ。


個人にとってみれば、日々の生活が大事である。

その生活が、充実し、楽しければ幸せではないだろうか。

充実の中身には、成長感や達成感、交流による相互刺激などがあるだろう。


一方、企業は、発展し続けることを求める。

アダム・スミスは、著書『道徳感情論 上』(水田洋訳,2003,岩波文庫)の中で、

社会的地位や富を求めるその心の動機を「虚栄」と断じた。

その上で、「虚栄」が経済活動