「何屋なのかを定義する」

「マルコメ」というと、坊主頭の少年「マルコメ君」が出てくるCMでお馴染みの、「味噌のメーカー(つまり、味噌屋)」として認知されているのではないか。


そのマルコメ社が、近年、モデルのミランダ・カーさんを起用したCMを打っている。

この背景を経営ビジョン、企業理念から考えたい。


経営ビジョンや企業理念が事業活動に及ぼす影響が大きいことは、企業人なら誰でもイメージすることができよう。


特に、経営層や部門長クラスは、戦略的判断や、日々の行動を方向づける重要な要素として、経営ビジョンや企業理念を意識しているはずだ。

しかし、新入社員や業務の末端で働く社員、さらに顧客にまでその理念を意識させ、行動させることは大変難しい。


マルコメ社は、近年、「味噌のメーカー」から脱却し、「発酵食品を軸に健康に貢献する会社」への転換を図っている。


これらを、経営ビジョン、企業理念として打ち出したとしても、単なる「お題目」だと社員が考えていると、開発される商品も、CMも、従来通りの味噌中心になるだろう。

また、顧客にとっても「味噌のメーカー」が、それ以外のものを販売していても、興味もわかないだろう。


だからこそ、世界的に影響力のあるミランダ・カーさんを起用して、「美容と健康に良い発酵食品の会社」「日本の食を世界に広めている会社」だと印象づけたかったのではないか。

このCMを見ると、社員も顧客も「マルコメ社は味噌だけだ」とは思うまい。



パナソニック社は、事業部制を創業初期(1933年)から敷き、各事業部の独立性の高さが、企業の強さのベースにある会社だった。

一方で、事業部間に壁があり、技術交流が行われておらず、開発、生産において非効率な状況も見られたという。

また事業部が多いと、何をする会社なのか、社外からはよくわからなくなる。

「総合」と称される企業の共通の弱点である。


「『何の会社なのか正直相当悩んだ』という津賀社長が出した"解"が『くらしアップデート業』」(2018年11月8日 日経産業新聞)だ。



「自社は何をする会社なのか?」

それを未来に向かって社内外に端的に言い表し浸透させることは、相当な困難だ。

しかし、ここをはっきりしなければ、成長速度、方向に支障が出ることは間違いない。


パナソニックは「くらしアップデート業」がキーワードとなって、今後の事業展開がはかられるのだろう。

経営ビジョンや企業理念がどれほど事業の方向を決めるか、この先のパナソニックの動きで検証できるのではないか。


20191129 ジェックメールマガジンより

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