適材適所は三つの要素の把握から


20人ほどの従業員を抱えるある会社の社長から、以下の言葉をお聞きした。


「仕事があるから、それをできる人を採用する。人がいるから仕事をつくる、というようことを中小企業がやっていると、会社がつぶれる」。


大企業ならいざ知らず、中小企業で必要数以上の人材を抱え込む余裕はないということもそうだが、必要な人材を必要なところに配置するということで、それが「適材適所」というものではないかと思う。


ピーター・ドラッカーは、その著書『明日を支配するもの』の第6章の中で、「所をうる」という一項目を立てている。(P.F.ドラッカー『明日を支配するもの』, 1999, ダイヤモンド社, p.212)


「所を得る(える)」とは、「よい地位や境遇を得る。適した職を得て力を発揮する。」とあり(デジタル大辞泉・小学館, 2019年4月16日閲覧)、ドラッカーの著書では、「適した職を得て力を発揮する」という意味で使われていると思われる。


ドラッカーは、「自らのうるべき所を知ることによって、普通の人、単に有能なだけの働き者が、卓越した仕事をこなすようになるからである(p.213)」という。


多くの日本企業は新卒を採用し、その個々人の適所を探しながら育成をしていくというスタイルをとっている。

つまり、最初から、仕事に向かう特別な能力があるとは考えてはいない。

個々人の強みや才能は、仕事を通じて作られ、磨かれ、その人固有の能力になるわけで、最初から何か卓越した仕事ができるわけではないということだ。


では、どれくらい時間をかければ「所をうる」ことができるのか?

ドラッカーは、「うるべき所を子供の頃から知ることのできる者はわずかである。

数学者、音楽家、料理人などは、四、五歳の頃に決まっていることがある。医者も一〇代で決まっていることがある。その他の仕事では、かなり特別な能力をもっていてさえ、自らうるべき所を知るのは二〇代半ばをかなりすぎてからである(p.212)」と言っている。


そして、「自らの強みがわかってくる。自らの仕事の仕方もわかってくる。

自らが価値を見出すもののわかってくる(p.212)」とも言っている。

これは、自分の強み、仕事の仕方、価値観という三つの要素を理解して、初めて適材適所を成しうるということだ。


そのためにも、「知識労働者たる者はすべて、部下、同僚、チームのメンバーに、自らの強みや仕事の仕方を知ってもらう必要がある(p.223)」。

キャリアそのものは、ドラッカーもいうように「本人以外の者が計画できるものではなく(p.214)」、働くものが自ら計画せねばならない。


しかしながら、自らのキャリアをきちんと計画し、強みや仕事の仕方や価値観をきちんと語れる人は実際のところさほど多くないように思う。


ドラッカーは、「フィードバック分析(p.194)」をするように勧めてはいる。

もし、目標管理制度などをきちんと機能させていれば、フィードバック分析もできるようになるだろうが、実際のところ、目標管理制度が機能しているという企業は多くないように思う。


だからこそ、マネジメントの観点から一人ひとりが持つこの三要素をきちんと理解することが重要になる。

また、その上で適切な配置をしなければならないことになる。

そして、フィードバック分析ができるように指導することも必要だ。


4月に期初を迎えた企業も多いと思う。

この段階でこそ、個人の強みに着目したマネジメントを行うためにも、もう一度、一人ひとりの「強み・仕事の仕方・価値観」を確認し、目標管理制度の意義と効用を見直し、個々人が所を得て、キャリアを積めるよう仕組んでいくことが求められるのではないか。


20190418 ジェックメールマガジンより

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