企業が「人口減少」と「貧困」を救う

T.R.マルサスの古典『人口論』の中で、人口を規制しているものは、

次の二点に集約されるという。

「第一に、食糧は人間の生存にとって不可欠である」

「第二に、男女間の性欲は必然であり、ほぼ現状のまま将来も存続する」

(『人口論』p.29,斉藤悦則訳,1798,光文社古典新訳文庫)


マルサスによると、アメリカを事例として取り上げ、

「人口は抑制されない場合、二十五年ごとに二倍になる。

つまり、人口は等比級数的に増加するのである」という(同p.35)。


新世界であるアメリカでは、比較的早婚で、比例等級的に人口は増えた。

その条件である食糧生産も土地は広く、増産が可能であったということだろう。

対してイギリスを念頭に「この困窮の時期においては、結婚することへのためらいと、

家族を養うことの難しさがかなり高まるので、人口の増加はストップする」(同p.41)

と、食糧が手に入らないことから、理性で人口は抑制されるという。


つまり、経済的な困窮状況があると、人口は増えない。

これは、今の日本や多くの先進国と同じではないか。


韓国の特殊出生率は、0.98と世界最低水準であるという。

2019年2月27日刊の日本経済新聞によると、「韓国では10年ごろから『恋愛、結婚、出産』を

あきらめる『三放世代』という言葉が使われ始めた。

財閥系の大企業と中小企業の待遇差や、不安定な労働市場に不安が広がったためだ。

経済的事情から子供を持つことに慎重な家庭が多いとみられる」とある。


国連が打ち出している持続可能な開発目標(SDGs)の目標の一番が

「貧困」(あらゆる場所あらゆる形態の貧困を終わらせる)、

二つ目の目標が「飢餓」(飢餓を終わらせ、食料安全保障及び栄養の改善を実現し、

持続可能な農業を促進する)ことである。


経済の安定的な発展の条件が、経済的な安定であることを考えると、

その経済を担う企業の役割は大きい。

家族を養い、幸せな生活を営む条件を作るのが企業ということだ。


SDGsに取り組む企業も多いが、単にジェンダーやエネルギーの課題解決だけではなく、

社員を含め地域住民が安心して家族を持てるような施策も重要であること、

ここが、企業の使命の起点になることは意識したい。


20190606 ジェックメールマガジンより

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