そっ啄同時

私の大学の恩師の遺稿集の題名は『そっ啄同時』という(「そつ」は、口編に卒)。

そっ啄同時とは、禅宗の話であり、遺稿集の中では、

「月満ちたヒヨコは生まれようとして卵の殻を内側から突きます。

しかし力が弱くて自力では殻を破ることが出来ません。

そのタイミングをみて母鶏が、その箇所を突いてやりますと、

ヒヨコは無事に殻を割ってこの世に生を受ける」と書かれている。


これは、企業内教育においても、特に初期教育において重要な思考だと思う。

殻を破って突いてきた新人を外からうまく導くことは、

その人のこれから進むべき方向を示すことにもなる。


また、内から突いてきたところを外から突くのは、

内にいる人の自己肯定感につながる。

そこには、自ら学び成長しようという意思のあるものと、

それを助けようとする指導的立場のものとの協同作業で、

人が成長していく姿があるのではないだろうか。


裏をかえせば、そのように「そっ啄同時」で人を育てようと思っても、

「自ら成長しようとは思っていない」社員を育てるのは難しいということになる。

しかも、そのような「自ら成長しようとしない人」は多いというデータがある。


リクルートワークスの「全国就業実態パネル調査2018」では、

「自己学習を行った人」(過去一年)は、全雇用者のうちわずか33.1%となっている。

(『【2018】どうすれば人は学ぶのか ―「社会人の学び」を解析する―』