有言実行と不言実行

私の周りの50才未満の10人に、「有言実行という言葉」に関して、下記のように、順に質問をしてみた。

1.「有言実行」という言葉を知っているか? 知っている 10人

2.「不言実行」という言葉を知っているか? 知っている 4人

という結果になった。


かつ、「有言実行」の対義語は「不言実行」であることを答えられた人は1人だった。


広辞苑第4版(1991年, 岩波書店)には、「有言実行」という言葉はない。

第7班(2018年, 同)には、意味の前にかっこ書きで

(「不言実行」をもじって作られた語)と書かれている。

いつの間にか、「不言実行」より「有言実行」の認知が高くなってしまったようだ。


「有言実行」という言葉は、宣言して目標を達成するということでは、

目標管理制度や、対外的な中期経営計画などで求められるものだ。

他にも「コミットメント」という言葉も浸透してきたし、

「コーポレートステートメント」という言葉もある。

ただ、それは「達成して、当たり前のこと」でしかないはず。


一方の、「不言実行」の人は、「黙って成果を出す」ので、

目立たず、評価されないことまできちんとやる。

「有言実行」は、「言ったかぎりは、やる」という意味合いが強く、

ともすると、その発言した範囲でしか成果を出そうとしない。

つまり、極論すれば、評価につながることしか手を出さない。

場合によっては、全体のことは無視してその約束した成果を出そうとする。


それに対して、不言実行の人は、「やるべきことをやる」のであって、

自分の評価は脇に置いておいても、全体の成果を考えて黙々と行動する。

役割と役割の隙間を埋めるような仕事を黙ってやる。

だからこそ、「不言実行」で「黙っていても、成果を出す」人こそが

組織においては重要であることを見逃してはいけない。


縁の下の力持ちの人は、「これをやります!」などと高らかに宣言したりはしない。


かつては、企業でも日常生活でも、「不言実行」型の人の方が、

「有言実行」の人より格好が良く、よい評価を受けていたはずだ。

「不言実行」より、「有言実行」という言葉の方が認知されている現代は、

「有言実行」の方が評価が高いと思われているようだが、それは誤りだと思う。


ちなみに、50才代後半の人、5人に同様の質問をしてみたが、

全員が「有言実行」の対義語として「不言実行」を言うことができた。

バブル崩壊以降に、何かの価値が変わったのかもしれない。


20190704 ジェックメールマガジンより

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