孔子は「仁」を重んじる。
その孔子の言動を弟子たちがまとめたものが論語だが、その中で「仁」がない様子を
指す四字熟語の一つとして、「巧言令色(こうげんれいしょく)」という言葉がある。
意味合いとしては、愛想が良く、相手に取り入ろうとする様子を指す。
孔子も人の評価を誤っていたことがあり、弁が立つ弟子を重んじていたが、
後にその弟子に「徳がない」と嘆いている。
逆に、口数も少なく、見た目が醜い弟子を重んじていなかったが、
後に別の門弟からの高い評価を聞いて、以前の自分の評価を嘆いている。
その門弟は、
「彼は歩くときに近道をしません(行くに径に由らず)。公務でなければ、
決して上司である私の部屋にやってくることはありません」と評価した。
この「行くに径に由らず」とは、
「小細工をせず、いつも正々堂々と事を行うこと」という意味だ。
上司に気に入られようと取り入るような行為はせず、
実績で認められる部下ということになる。
そのような部下を得た上司は、安心して仕事を任せられるだろう。
(参考 諏訪原研著,『四字熟語で読む論語』2008,大修館書店)
20190822 ジェックメールマガジンより