報酬と動機づけ

ここ近年、春闘で、労組側から、評価が高い組合員ほど多くの

ベア(ベースアップ)を得られる傾斜配分の要求が増えているそうだ。

これまで統一的な賃金アップを求めてきた労組が、

組合員による賃金アップの差を認めるということだ。


これは、優秀な人材の確保を目的としていることが多いと聞くが、

果たして、優秀な人材を確保し続けるということに、つながるのだろうか。


「報酬と動機づけ」に関して、次のような実験がある。

(『人を伸ばす力』, エドワード・L・デシ + リチャード・フラスト 著,

 桜井茂男 訳, 1999, 新曜社, pp.27-32)


被験者(大学生)を2つのグループに分け、一方にはパズルを解くと

外的な報酬(金銭)を与え、もう一方には報酬を与えないことにした。


実験では、被験者は30分パズルに取り組み、

その後、実験者が8分間席を外し、自由時間をつくる。

自由時間は、何をしても良いことになっている。

その「自由時間」にもパズルに取り組むのはどちらのグループだっただろう?


実験の結果、外的な報酬(金銭)を与えられるグループより、

報酬を与えられないグループの学生の方が、

自由時間にも、楽しんでパズルを解いていたそうだ。


金銭は、動機づけの有力な要因であることは、間違いない。

ただ、報酬が与えられると、その行為は内発的動機づけではなく、

報酬を得るための外発的動機付けによる行為になってしまうということだ。

「内発的動機付けとは、活動することそれ自体が

その活動の目的とであるような行為の過程、

つまり、活動それ自体に内在する報酬のために行う行為の過程(同p.27)」

のことである。


その行為の過程が目的とならないような労働であれば、

おそらく外的な報酬=金銭は有力な動機づけの要因となるだろう。

しかし、その過程が目的となるような創造的な仕事の場合、

積極的にその行為に取り組むことを阻むかもしれないということだ。


外的な報酬で人を動かそうとして弊害が出た事例が、

最近問題になっている保険の販売ではなかっただろうか。

報奨金の比率が高い営業担当者は、報奨金でしか動機づけられず、

結果として不正を働くことになる。

これは、マネジメントの誤りの極みだろう。


「評価が高い組合員ほど多くのベアを得られる」という報酬で考えるよりも、

仕事のやりがいや楽しみを増やす方が、実は生産性が高まるのではないか。

少なくとも、賃金アップと同時にそのような施策を取り入れなければ、

生産性は上がらないだろう。


20200305 ジェックメールマガジンより

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