あるメーカーのサービス部門の会議で、
「一人親方」と「個人商店」の違いについての議論があった。
これらの定義に関しては、次のように話されていた。
「一人親方」とは、
・ある一定の技量を持ち、現場で求められる作業全般をこなすことができる。
・そのような「一人親方」が人を使って作業をこなすと「親方」と呼ばれる。
・好んで一人で仕事を完結させてしまう傾向がある。人を使いたがらない。
一方、「個人商店」とは、
・他とは違う独自の特徴を持っている。
・モールなどに個人商店が集まると、モールの全体の魅力が増す。
・特定の商品、サービス分野のための仕入れ、加工、販売を行う機能は持つ。
この企業では、「一人親方」になることをこれまで求めていた。
一人で現場に行って、全て一人で修理、調整、更新作業等を行い帰ってくる。
こういうサービス担当がたくさんいれば、
あらゆる現場に機動的に人を送り込むことができるので便利だったのだ。
「個人商店」では、何かの業務は得意かもしれないが、
結果的に複数人のサービス担当者を現場に送ることになるので、
効率が悪いと考えられていた。
ところが、この会議の席で、サービスの高度化と従業員の高齢化を背景に、
「一人親方」の前に「個人商店」をまず作る、
という動きにしないといけないのではないか?という話になった。
このサービス部門は、50歳以上が人員の約半数を占める。
20才代は多少、増員できてきたが、30才代は極端に人がいない。
そんな人員構成の中で、若手を一人親方として育成するには、時間がかかる。
だから、全部じゃなく部分で良いので、その人の秀でた能力を活かして、
かつてよりも高度になったサービス力を身につけさせ、
多人数で現場対応に当たれる「チーム」を作ることが今は急務ではないか、
という意見でまとまったのだ。
複数のベテランが、複数の若手を現場で育てるという体制にして
ベテランの持つ個々の能力を分解してでも継承させていかないと、
サービス担当者の技能が継承されないという危機感もある。
業務が高度化し、専門性が高くなると、修得するには時間がかかる。
ならば、業務を分解してでも、一部の分野や技術に特化した
高度で専門的な技能者をつくることは必要だろう。
また、今は「チーム力」が問われる時代ではないか。
職種を違わず、一人前=一人親方と考えている会社は多い。
しかし、チームで仕事をする、ということを前提に、
育成の方向を考え直してみてもよいかもしれない。
20200416 ジェックメールマガジンより