非公式組織の有効性


組織の中で、自然発生的に仲の良いグループ(非公式組織)が生まれることがある。


A:たまたま、休憩時間が同じで、ランチをいつも一緒に取るようになる。

趣味が一緒であることが分かり、休日にも会うようになる。

帰る方向が同じということで、「〇〇沿線会」のようなものができたりする。


B:新入社員には指導員がつくことが多い。

新入社員と指導員の関係は、指導期間が終わっても続いたりする。

その指導員にも指導員がいて、指導員つながりの集まりもできる。

指導期間が終わったあとでも、何かあると、

上長に相談する前に、指導員に聞くということも多いだろう。


C:何かの仕事上のプロジェクトに取り組んだメンバーが、その後も横のつながりを維持することがある。

何か困ったことがあると、その横のつながりで相談し合う。

困ったことがなくても、年に一度はメンバーが集まったりする。


ABCのどれもが、「非公式組織」だ。


いずれの非公式組織の中でも、メンバーが集まれば、愚痴も言うだろうし、組織に対して建設的な意見交換もあるだろう。


つまり本来なら、公式な組織のルートで行われるようなコミュニケーションがあったり、

場合によっては意思決定さえ行われる。

それは、協働関係を促進することにもうまく働くし、時にはその反対のこともある。


バーナードは、『経営者の役割』の中で、次のようにまとめている。


「公式組織は非公式組織から発生し、非公式組織にとって必要なものである。

しかし、公式組織が機能し始めると、それは非公式組織を創造し、必要とする」

(C・I・バーナード著,『経営者の役割』p.126,

 山本安次郎・田杉競・飯野春樹訳,1938,ダイヤモンド社)。


ABCのどの非公式組織も公式組織にとってなくてはならないものだろう。

ただし、Aは自然発生的で、公式組織のコントロール下にはないが、BやCは、そのきっかけが公式組織の指示であることから、意図的に生み出すことができるものではある。



ある鉄道会社では、この点に着目して組織風土を変えようとしている。

たいていの鉄道会社では、新人には教育係(師匠)がついて、仕事を教える。

駅に配属されるとき、車掌や運転士になった時等、仕事が変わる度に師匠がつく。

その師匠にも師匠がいるので、「師匠会」が結成されている。

そこで、指導の方針や内容をより組織が活性化する方向に持っていくのだ。


どういうことかというと、単に技能を教えるという関係にはしない。

「なぜ、この作業をするのか?」という作業手順の説明も、企業理念の実践としての業務という観点から説明、指導するのだ。


これらの非公式組織では、「一定の態度、理解、慣習、習慣、制度を確立する」ことになる(同p.121)。

そして、(公的組織の)法律と(非公式組織の)慣習に「対立が生ずる場合には、通常は慣習が勝つ」(同p.122)とバーナードは書いている。


非公式組織の方が人を拘束する力があると考え、これを一定程度はコントロールすることで、組織を活性化させるという視点をもって、非公式組織のもととなる様々な施策を打つことは、大変有効であることは間違いない。


20200611 ジェックメールマガジンより



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