「三現主義」を判断基準に


ツイッターでリツイートされた情報は、数が多ければ多いほど

多くの人の関心を引いている、ということはわかる。

しかし、リツイートの多さと、その情報が事実かどうかとは、関係はない。

時には誤った情報が拡散する危険性がある。


また、発言力の強い人のツイートが正しいとも限らない。

これは、仕事でも同じで、自分で実際に見聞きした以外のことは、間接的情報や人からのアドバイスでしかない。

身近な人からの情報だけを鵜呑みにしていたら、偏った判断をすることもある。

では、何をもって情報の真偽、有効性を判断していけばよいのだろう。



現場、現物、現実の「三現主義」という言葉がある。

机上で考えるのではなく、現場に行って実際に物(現物)を見て、現実を認識して判断するという思考だ。

もともと、ものづくりの現場で作られた言葉ではあるが、全ての仕事に当てはまるものだと思う。

この「三現主義」で磨かれた「感性」こそ、情報を仕分け、見抜く土台になるのではないかと私は思っている。


ある鉄道会社の方から、「現場に行きましょう」と声を掛けられたのは、今から24年前のこと。

その時は、駅のサービス力を確認するために、数駅を回った記憶がある。

そこでわかったのは、若手職員が愛想の良いサービスをするのはよいのだが、知識や技能が足りず、一方で、日ごろ無愛想なベテランの駅員の方が、何か困ったことが起こった時には、格段に対応力があるということだった。


そして、そういう時のベテラン駅員は不愛想ではない。

普通に改札に立っている(自動改札以前の頃)時や切符を売っているときは無愛想なのに、困っている人には、愛想よく丁寧になるのだ。


ただ、日ごろは不愛想なので、苦情の多くはベテラン社員から出る…。

どうしてそうなるのか?


色々現場を見て、彼らにも話を聞くと、彼らが持っている仕事観が、「鉄道を支障なく利用してもらう」になっているからだとわかった。


つまり、普通に改札に立っているときは、黙々と切符を回収する。

「挨拶は余計なこと」で、黙々と的確に切符を回収する方が、作業に集中できるし、お客様を煩わせることもなく、「支障なく利用してもらう」ことになるからだ。


しかし、「乗り継ぎがわからない」という旅客が来ると、「鉄道を支障なく利用してもらう」ために、的確な回答をする。

若手には、これができない。


もし、苦情のデータだけを見て「ベテラン層にマナー研修をやりましょう」とやってみても、たぶんうまくいかないだろう。

現場で発見した「仕事観」を変えなければ変わらないのだから。


以降、BtoCの仕事であれば、そのサービスや商品を確認するために、現場に行き、体験するようにしている。

そうすることで、その職場の風土を体感できたりもする。

そうやって、三現主義で仕事をしていると、得られた情報が「ちょっと違うかも」という違和感を持つことができるようになる。


ぜひ、「三現主義」を意識して現場に行ってもらいたいと思う。

ネット情報に依存せずに…。


20200917 ジェックメールマガジンより

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