共通点は「感じる」こと

先日、あるメーカーの部長が

「大手鉄鋼メーカーでは、東大卒であろうと製鉄所に配属する。

その時に得られた知見や人脈がその後、生きるようになっている」とおっしゃった。


このように、大卒の総合職新入社員を「現場」に配属するということはよくなされる。

メーカーでは工場などに、鉄道会社なら駅や乗務所に配属するのだ。


欧米では、「何をする仕事か」と明確にし、「その仕事をさせるため」に人を雇うと聞く。

どんな成果を出せばよいかも明確だし、専門性が高ければ、新入社員の時から高給で処遇することもある。

このような採用では、現場配属などありえないだろう。


日本でもこのような欧米型の「ジョブ型雇用」というものを打ち出す企業が、近年、増えているという。

「ジョブ型」に対して、従来の雇用は「メンバーシップ型」と呼ばれるそうだ。

職務や勤務地等は限定されず、企業の側に委ねられる。


この二つの「働き方」(雇用形態)は、どちらが良い、悪いというものはない。

働く側からすれば、ジョブ型は、自分が持つ技能を生かす方向にも、勤務地を限定することもできるから、特別な技能があり、転居が難しい環境にいる人には、良い制度だろう。


また、「ジョブ型採用」を行っている企業でも、あわせてメンバーシップ型の採用を行うところが大多数だと思うが、新人教育では、ジョブ型採用の新入社員は現場実習をしない、初期教育が異なるということもあるだろう。


私は、たとえジョブ型だろうが、「物を作る」「サービスやものを提供する」、その最前線の現場への配属は、その人のキャリアのためにも外してはいけないことだと思う。


自社が何をどう作っているのか、どう評価されているのか、それを作っている自社の誇りや使命はなにか、どんな思いで最前線の人が働いているのか、それらを「知る」だけではなく、「感じる」ことなく良い仕事をするのはムリだと思う。


ジョブ型の場合、任された仕事がなくなるか、自身の能力でカバーできなくなれば、その会社を去らねばならない。

それはジョブ型雇用の宿命だろう。

だからこそ、どのような方向で専門性を磨けばよいのかを考える必要がある。

そのためには、方針やビジョンを知ることが大事だろう。

そこに共鳴することなく、仕事を続けることは難しい。


そして、共鳴するには、現場最前線での自社の評価を知ることが重要だと思う。

顧客接点に行かないと、わからないことは多い。

そういう意味で、本人のキャリアアップのためにも、たとえジョブ型の採用であっても現場に行くことは重要だと思う。