個人ビジョンから組織のビジョンは生まれる

組織を運営する上で、ビジョンや企業の理念を示すことの重要性は今さら説くまでもないことだと思う。

ビジョンや企業の理念は、組織の活力の源であり、他との差別化要因でもある。


また、そこに属するメンバーを結びつける共通項であり、問題解決の方向を決めるものでもある。

ただ、そういったビジョンや企業の理念が末端まで染み込んだ組織はそれほど多くないのではないだろうか。


HR総合調査研究所が、上場および未上場企業の人事担当者に対して行った調査(2013年)では「企業理念が社員に浸透している」と認識する企業はわずか6%しかない。

「やや浸透している」の36%を合わせても4割強に過ぎない」とされている。

(人事ポータルサイト【HRpro】「企業理念浸透に関するアンケート調査」結果報告

https://www.hrpro.co.jp/research_detail.php?r_no=77 2020年11月24日閲覧)


どうして、あまり浸透されていないという組織が多いのだろうか?


この調査では、半分以上の企業が回答し、最も多かった浸透しない原因は、「経営層が旗振り役になれていない」となっている。

二番目が「社員の帰属意識の希薄化」である。

トップがビジョンや経営理念を浸透させる努力をしていないというのは、正直、論外だとは思う。


また、浸透させるための施策に関しては、

「(理念を解説した)パンフレット・カードの配布」(57%)、

「分かりやすい表現での明文化」(52%)が多い」と、この調査では明らかにされている。

そういう企業は多いが、それで浸透に成功しているようにも思えない。


私見だが、ビジョンや理念浸透に一番重要なのは、「メンバー個々人にビジョンを持たせる」ことだと思っている。

一人一人がビジョンを持ち、「こんな仕事をしたい」、「こういうことで社会の役に立ちたい」というものがあり、それと組織のビジョンが結びつくとき、はじめてビジョンが浸透したと言えるのではないだろうか。


ピーター・M・センゲの『学習する組織』

(枝廣 淳子 & 小田 理一郎 & 中小路 佳代子 訳, 2011, 英治出版)の中で、「共有ビジョンは個人ビジョンから生まれる」(同p.288)と書いている。

「人の個人ビジョンには、たいてい家族、組織、地域社会、さらには世界にまで関係する側面が含まれている」(同p.289)ともいう。


ビジョンは与えるものではなく、一人一人が作り上げるもの。

そこを忘れて、上からビジョンを浸透させようとするから、うまくいかない。


メンバーは個人ビジョンを持ち、それを達成するために組織に属していると考えること、