試行錯誤の新人育成

8月初旬、ある20人ほどの会社の社長から、「今年の新入社員の顔を見たことがない」と聞いた。

2人の新人なのにである。

まったく出社していないわけではない。

マスクをしているので、実際の顔がどうだったか、わからないというのだ。


リモート勤務も多くなり、飲み会も自粛。

個人的な話をする機会がほとんどないため、どんな人物かもよくわからない、とこぼしていた。


9月に200店舗ほどの店を構えるある企業の社長を尋ねたときには、「メールチャンピオン」という話を聞いた。

新入社員の間でメールが飛び交い、横の連携ができていたらしい。

プラスの連携なら良いが、残念ながらマイナスの連携だったとのこと。

上長や先輩社員とのコミュニケーションが取れていないが故の現象だと分析されていた。


with コロナの時代、新入社員の育成、接点の取り方にも大きな変化が出ているようだ。


オンライン研修は当たり前になった。

今年度、4月から3カ月、オンライン研修のみで出社していない、という会社もあったと聞いた。

基礎的な技術、知識はオンライン研修で身についても、実際の仕事ができるとは思えない。

見よう見まねというのが教育の基本、先輩や上司との共同作業が仕事を覚える本質である。


「シャドウワーク」という育成方法がある。

簡単にいうと「育成対象者が、先輩の仕事の流れをそのまま何度もトレースする」というものだ。


案件が発生したら、それにどう対応していくのか、商談の準備、企画書作り、見積もり作成や契約書作成、これらの流れの中で発生する稟議などの社内業務、そして、最後の報告書作成まで、仕事の流れに沿って同じ業務を模擬的に経験させる。


書類を作成するときには、同じように新人に書類を作成させ、その書類を先輩社員と比べ、何がどう違うのか、学習させ、次に生かさせるようにする。

もちろん、様々な業務を行うために必要な資料、知識もあるので、それは提供して説明、学習させる。

これで業務は一通り、学ぶことはできる。


案件発生までの過程でも、それもアポの取り方、連絡の方法、商品・サービスの説明の仕方等、全てトレースして学べるようにする。

仕事のやり方を最初から終わりまでとにかく、同じように体験させ、仕事の感覚をもたせるのだ。

やがて必要なスキル、知識を持ったところで、先輩の仕事の一部を代行させる。

徐々に、代行させることを増やし、最終的に一人でできるまでに持っていく。

この方法なら、オンラインでも「見よう見まね」の育成は可能だ。